第1章

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 息をかけ少し冷まして口に入れると、大きなたこ焼きが、口内を占領した。ほほの内側の粘膜がやけどしそうだった。  噛むとサクッと音をたて、中から甘みが溶け出してきた。 「うまかね」  頷いた。 「やっぱあ本場は違うったい」  あんまり無邪気に喜ぶから、締めつけられるくらいときめいてしまった。  戎橋が見たいというコクラをつれて、道頓堀方面へ向かった。 「やっぱり、阪神ファンなと?」 「別に、野球はめえへん。そっちこそ、ソフトバンクファンなん?」 「地元やし、たまたま名前に鷹の字はいっとったけん」  鷹の字が入っているとは知らなかった。下の名前は思い出せなかった。
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