第1章

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 コクラが、背中に当たっていて、接した所が、ざわざわとくすぐったかった。二枚目の撮影の直前に、私はそっと首を傾けて、コクラに寄り添った。体がしびれている気がした。  写真を選び、タッチペンで落書きをするとき、コクラは私の頭の上に「サヤ」と書き込んだ。私は、素早くペンを取り上げると、画面を戻して、「粉もん」と書き込み、すぐに落書き画面を終了させた。  画面にうっすら映るコクラは笑っていたので、ホッとした。  プリクラを分け合って外に出ると、アーケードのトンネルの外が薄暗くなっていた。  そろそろ、帰らなくてはいけない時間だった。 でも、何も言い出せずにいた。何となく駅の方向へとぼとぼと歩いていた。
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