★SIX★

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“派手なメイクしてたから誰かよくわからなかったけど、美織っぽかった。二人でドーナツショップ入ってったよ。” 美織さんといたなら、サッカー部のことかもしれない。 でも、派手なメイクしてたってことは、プライベートってことだよね。 胸が苦しくなる。 私は胸元を押さえた。 “ごめんね。ホントは言うつもりなかったんだけど、相手が美織っぽかったから、気になって。ほら、美織って、舜のこと狙ってるって噂あるじゃん?” “教えてくれてありがと。” それだけ返事した。 他にも返す言葉はあったのかもしれないけど、頭の中が真っ白になって、何も思い浮かばなかった。 トークルームを閉じると、舜からもLINEが来ていた。 “今、周とドーナツショップ来てる。” というメッセージだ。 嘘つき。 一緒にいるの、美織さんのくせに。 トークルームを開かずにいると、また舜からのメッセージが来た。 “舜が画像を送信しました。” 画像かぁ。 トークルームを開かなきゃ、どんな画像が来たのかわからない。 私は渋々、トークルームを開いた。 ピンクと茶色と黒に近い茶色の、三つのドーナツとドリンクが映った写真が送られてきていた。 その写真の隅に、ピンクの服が微妙に映っている。 赤城くん、確か… ――俺、ピンクって嫌いなんだよな。女っぽくてさ。 って、前に言ってたよね。 でも、映っているのはピンクの服。 やっぱり、さっきの“周と”っていうのは嘘なんだ。 何で、嘘をつくんだろう。 美織さんといることを、そんなに私に隠すなんて、まるでばれたらいけないことをしてるって、自覚していて、わざと隠しているみたいだ。
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