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“派手なメイクしてたから誰かよくわからなかったけど、美織っぽかった。二人でドーナツショップ入ってったよ。”
美織さんといたなら、サッカー部のことかもしれない。
でも、派手なメイクしてたってことは、プライベートってことだよね。
胸が苦しくなる。
私は胸元を押さえた。
“ごめんね。ホントは言うつもりなかったんだけど、相手が美織っぽかったから、気になって。ほら、美織って、舜のこと狙ってるって噂あるじゃん?”
“教えてくれてありがと。”
それだけ返事した。
他にも返す言葉はあったのかもしれないけど、頭の中が真っ白になって、何も思い浮かばなかった。
トークルームを閉じると、舜からもLINEが来ていた。
“今、周とドーナツショップ来てる。”
というメッセージだ。
嘘つき。
一緒にいるの、美織さんのくせに。
トークルームを開かずにいると、また舜からのメッセージが来た。
“舜が画像を送信しました。”
画像かぁ。
トークルームを開かなきゃ、どんな画像が来たのかわからない。
私は渋々、トークルームを開いた。
ピンクと茶色と黒に近い茶色の、三つのドーナツとドリンクが映った写真が送られてきていた。
その写真の隅に、ピンクの服が微妙に映っている。
赤城くん、確か…
――俺、ピンクって嫌いなんだよな。女っぽくてさ。
って、前に言ってたよね。
でも、映っているのはピンクの服。
やっぱり、さっきの“周と”っていうのは嘘なんだ。
何で、嘘をつくんだろう。
美織さんといることを、そんなに私に隠すなんて、まるでばれたらいけないことをしてるって、自覚していて、わざと隠しているみたいだ。
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