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玄関まで行き、スニーカーに足を入れると、解錠し、ドアを開けた。
「どうしたの?急に」
部活のTシャツの上に長袖のジャージを羽織った玲也くんが、ドアの隙間に手を入れる。
玲也くんは背が高いから、私は見上げなきゃいけない。
「…心配だったから」
「え?」
し、心配って?
何故だか、ドキドキする。
「横井のこともあったし、落ち込んでるかなって思って」
玲也くんが頬を掻いた。
「玲也くんって、優しいんだね」
「え?」
こんなことで、心配して家まで来てくれるなんて。
それに比べて舜は、美織さんと2人で出かけてるんだもんね。
「何かあった?」
玲也くんが腰を屈め、私の顔を覗き込んでくる。
私は、慌てて顔を背けた。
「ううん、何でも。ただ…好きでもない女の子にこんなに優しくできる玲也くんって、優しいんだなぁって思って」
私は玲也くんを見上げ、精一杯笑ってみせる。
玲也くんが少し俯いた。
「そんなことないよ。俺、全然優しくないよ」
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