162人が本棚に入れています
本棚に追加
「美玖って、清水に聞いた通り鈍チンなんだな」
玲也くんが、ボソッと呟いた。
「へ?」
「え?あ、いや、なんでも」
聞き返すと、玲也くんは慌てた様子で首を振る。
…何だろ。
清水と、チンだけ聞こえたけど。
清水って、浩佳のことだよね。
…でも、チンって?
電子レンジの音…じゃないよね。
「あ、立ち話もなんだし、家上がってく?ほら、外寒いでしょ?」
さり気なく話題を逸らす。
途端、玲也くんの白い顔が、少し赤くなった。
「い、いいの?」
「いいよ。あ、でも、風邪…うつしちゃうかなぁ」
私は慌てて口を押えた。
その手を、玲也くんに掴まれる。
「!」
「大丈夫だよ。俺、体は割と丈夫だし。それに…美玖にうつされるなら悪くないかな…なんちって」
もう片方の手で、玲也くんは照れたように頭を掻いた。
なんだか、可愛いなぁ…。
私はクスッと思わず笑った。
「玲也くん華奢だし、色白だし…ホントに丈夫?」
心配して聞くと、玲也くんはムスッと頬を膨らませた。
「丈夫だよ」
あれ。もしかして、怒ってるかなぁ。
何か言ったらまずいこと言っちゃった…?
「…やっぱさぁ、色白で華奢な男子って、頼りないのかな」
最初のコメントを投稿しよう!