★SIX★

18/21
前へ
/173ページ
次へ
「美玖って、清水に聞いた通り鈍チンなんだな」 玲也くんが、ボソッと呟いた。 「へ?」 「え?あ、いや、なんでも」 聞き返すと、玲也くんは慌てた様子で首を振る。 …何だろ。 清水と、チンだけ聞こえたけど。 清水って、浩佳のことだよね。 …でも、チンって? 電子レンジの音…じゃないよね。 「あ、立ち話もなんだし、家上がってく?ほら、外寒いでしょ?」 さり気なく話題を逸らす。 途端、玲也くんの白い顔が、少し赤くなった。 「い、いいの?」 「いいよ。あ、でも、風邪…うつしちゃうかなぁ」 私は慌てて口を押えた。 その手を、玲也くんに掴まれる。 「!」 「大丈夫だよ。俺、体は割と丈夫だし。それに…美玖にうつされるなら悪くないかな…なんちって」 もう片方の手で、玲也くんは照れたように頭を掻いた。 なんだか、可愛いなぁ…。 私はクスッと思わず笑った。 「玲也くん華奢だし、色白だし…ホントに丈夫?」 心配して聞くと、玲也くんはムスッと頬を膨らませた。 「丈夫だよ」 あれ。もしかして、怒ってるかなぁ。 何か言ったらまずいこと言っちゃった…? 「…やっぱさぁ、色白で華奢な男子って、頼りないのかな」
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加