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グイッと玲也くんの顔が近づく。
「えっ?」
「俺って、そんなに頼りない?そんな弱そうに見える?」
そんなこと――。
私の手を掴む玲也くんの手は力強くて、敵わないなって思う。
それに、バスケをする玲也くんは、誰よりも凛々しくて、かっこよくて、誰にも負けないって思わせてくれるんだ。
私は黙って首を振った。
「…ごめん」
玲也くんが、パッと私の手を離した。
それから、クルッと私に背を向ける。
「やっぱ、帰るね。…これ以上美玖と2人でいたら、俺が俺じゃなくなっちゃう。それに――舜に、悪いしね」
それ、どういうこと?
聞こうと思ったけど、その前に玲也くんは去ってしまった。
私は暫くドアの前に立っていたけど、くしゃみが出たのを合図に、ドアの鍵をかけ、家の中に戻った。
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