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何それ…。
そう思ったけど、何故だか頬を赤らめる舜がおもしろくて、私は思わず笑った。
「何だよ」
「だって、おもしろいから」
私が言うと、舜は目を瞬かせた。
そして、ふいっと顔を背けてしまった。
私は、舜の手を握り返した。
「…手、冷たい。次は、ちゃんと手袋はめろよ?また風邪引かれたら俺…」
その先は、声が小さくて何も聞こえなかった。
道を行きかうカップルたちの声でかき消されたせいもあった。
「イルミネーション、見るの楽しみだね」
私は舜に言った。
舜が「あぁ」と頷く。
駅前の広場につくと、クリスマス仕様のモミの木がライトアップされていた。
「綺麗…」
ドラマに出てきそうで、なんだかロマンチック。
まるで、ドラマの登場人物になった気分だ。
「…綺麗って言って顔輝かせてる美玖の横顔のが綺麗」
舜が小さな声でボソッと言う。
「へ?」
顔が一気に熱くなった。
私は空いている右手で、慌てて顔を押さえる。
冷え切った右手の冷たさが心地いい。
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