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イタリアンのレストランを予約したというのは、聞いていた。
でも、学生のデートだから、小さな店をイメージしていたのに、全く違っていた。
天上からシャンデリアが吊り下がり、ヴィーナスの壁画が飾られている。
丸いテーブルには白いクロスがかかり、その上に綺麗なグラスが幾つも並んでいた。
「すごい豪華だね」
「まぁね」
大きな窓の外にはバルコニーがある。
窓についているカーテンは、真紅で金色の刺繍が施されている。
「お金、ある?」
「美玖とデートするって言ったら、親が金出してくれたから大丈夫」
舜がはにかむ。
私は「太っ腹だね」と笑った。
「俺の親、美玖のこと相当気に入ってるから。まぁ、俺の美玖愛には負けるだろうけどな」
「ばか」
顔を見合わせて笑う。
それから、メニューを見て、ウェイターに料理を注文した。
「でも、窓際の席でよかったね」
「ん。何で?」
「だってほら。外のイルミネーションがよく見える」
私は窓の外を指さした。
駅前広場からレストランまで続く大通りの街路樹は、イルミネーションで青白くライトアップされている。
それを見て黄色い声を上げる女子高生や、カップルも少しだけどここから見えた。
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