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「少なくとも、恋愛対象には思われてないって。絶対」
私はグラスに入った水を飲んだ。
舜が少し顔をしかめる。
「どうする?部活中にいきなりキスなんてされたら」
「そんなこと、あるわけないでしょ」
否定しながらも、胸の奥がモヤモヤした。
私と玲也くんの間には、本当に何もない。
ただの部活仲間だ。
なのに、舜はそれ以上の関係なんじゃないかって疑ってくる。
でも――。
舜と美織さんはどうなの?
美織さんが舜に対して明らかな好意を抱いているのは、皆が知っている。
その美織さんと舜は、部活仲間。
だけど、昨日二人は会っていた。
それを、舜が隠している可能性は50%。
何で自分がしたことは隠して、私のことをそんなに疑うんだろう。
私はフォークを握りしめた。
「でも」
まだ言いかける舜を思いっきり睨む。
舜が何か察して、口を閉じた。
「だったら、舜はどうなの?」
声を荒げそうになるのを必死に抑えて、静かに聞いた。
一瞬、舜の表情が強張った。
でも、すぐにいつも通りになる。
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