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「何が?」
舜がグラスの水を一息に飲み干した。
近くにいたウェイターを呼び、水を注いでもらう。
「美織さんとの間に、何かあったりしないの?」
「あるわけないだろ。だって、俺は美玖のことが好きなんだから」
嘘。
浩佳が見たと言っていたことを聞こうか迷った。
まだ、半信半疑だ。
舜のことは信じたい。
でも、親友の浩佳のことも信じてる。
「…ホントに、部活仲間ってだけ?」
「どういう意味だよ」
舜が眉間に皺を寄せた。
「別に信じてるわけじゃないんだけど、浩佳が…昨日、舜と美織さんがドーナツショップに入ってくのを見たんだって」
あくまでも、舜が赤城くんと言った方を信じている風に装って言った。
舜の顔が、ハッキリと強張るのを見た。
胸の奥がズキッと痛む。
これ以上、お互いの腹の内を探り合って、それでもまだ私は、舜の隣にいたいのかな。
ふと、疑問に思った。
別に私が我慢しさえすれば、すべては上手くいくんだ。
舜と美織さんがくっついて、私が苦しむことはなくなる。
私は息を大きく吸い込んだ。
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