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「……ねぇ、舜」
「ん?」
私は、笑っていられるだろうか。
最後まで、笑っていることができたなら、きっと私はこの選択に、後悔することはない。
「私達………、友達に戻ろう?」
瞼の奥が熱くなる。
視界が滲みそうになった。
泣くな、私。
今泣いたら、きっと一生後悔する。
「え?」
舜が掠れた声を出した。
私は紙ナプキンで口元を拭った。それから、グラスの水を飲む。
「知ってた?赤城くんってね、ピンク嫌いなんだ。昨日、舜が送ってきた写真には、ピンクの服が映ってたよ」
「……違うんだ。それは誤解だ」
舜が小さな声で言った。
誤解だったとして、もういいんだ。
私は首を振った。
「私、舜といるといつもドキドキしてた。舜のことが好きだから。でも、それ以上に、いつ別れることになるか、他の人に気移りされるか心配で、だからドキドキしてたんだ」
きっと、舜と友達に戻れるなら、そんなことで心配しなくて済む。
私は、舜に笑顔を向けた。
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