第1章

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 「これは一体誰の仕業だ?」  一仕事を終えて家に帰ると、家の中は随分と乱雑に荒らされていた。 貯蓄していた食糧は食い散らかされ、水も飲まれて、更には私と妻の椅子も壊され、ベッドは折角妻が洗って干してきっちりたとんだ布団がぐしゃぐしゃになっている。 まるで台風がきたかのような荒れようだ。  とは言え、  私達家族の家も元々は前の住人が使用していたらしいが、町へ出てしまったのか放置されていたので、  越冬するには丁度良いと借り住まいさせて貰う事にした家屋で、 山で採れた山菜や様々な木の実、キノコ、蜂蜜といった食糧を保存するのに丁度良く、川で採れた鮭を保存するのにも最適で、 布団もフカフカで気持ちよく寒い思いをせずに住むと借りぐらしには持ってこいの環境だった。 冬場は特に冷え込むし、食糧が乏しくなる、だから、そんな冬に備えて食い溜めをしておく必要があるのだが。  そして、このことを皮切りに娘の様子がおかしくなった。  独語を喋り始めたのだ。 何日も何日も楽しそうに、だが、娘の独語を聞いていると一つだけ判った事がある。
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