【霧・摩・影・變】シリーズ /  第一話 【腐霧】

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ドアを開けるとすぐ台所がありその向こうにスリガラスの引き戸そこは居間だ 居間の隣にはもう一部屋ある 居間にいないので居間を通り隣の和室へ…障子をそっと開けて隣室の中を見る 「お邪魔するわよ-水谷さーん…・」 カーテンが引いてあるせいで室内は薄暗い 布団が敷いてある…水谷京子が布団に横たわっていた 「水谷さん…」 恐る恐る声をかけるが返事もない 近づいて覗きこむようにしてよく見た 「ひぃぃぃぃぃ!!」 腰を抜かしたのか這いつくばって出てきた 声にならないようだ 「はひいぃいぃいい」 「あっわわわわ」 「どうしたんだ久江!」 旦那の国男が、慌てて久江の体を引きずり出すように ドアから出した 異変に気づいて 田村と高野が階段を駆け上がる 「どうしたんですか!」 「しし死んでるううううう!!」開いたままの102号室のドアを指差す 「ええ!」田村と高野は 顔を見合わせ、急いで中に入る 奥の和室で 布団に横たわる水谷京子 目が見開いている 「うわ!」 大きく目を見開いたまま動かない水谷京子の異様な雰囲気に思わず声が出る 田村が近寄り首に手を当てる 「ん?」 布団から手を出し脈を取る そして、口元に耳を寄せた… 居間のところから覗いている久江の方に振り返る 「生きてるじゃねえか びっくりさせんなよ!」 「え生きてるんですか?」驚く高野 「おお、脈もあるし 呼吸もしてるぞ」水谷京子の顔を覗き込む 田村と高野 「目を開けて寝てんのか? こんな こんな大きく」
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