【霧・摩・影・變】シリーズ /  第一話 【腐霧】

216/219
187人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
「はぁ・・ 何をすれば・・・」 「あっ!」   高野が声をあげた 「あの例の! 一晩中ってやつ!  で、でも芦屋さん・・童貞なんですか?」  高野のとこへツカツカと歩き寄る、京子 バコッ!   思い切り頭を殴られた 「あ・れ・は、鬼たちを引き寄せるやつ!!  ばっかじゃないの!  っとに!」    また、前にもどり座った 「痛っっっ・・・そんな、思い切り殴らなくても・・」     ぶつぶついう高野        睨む京子 「ごごごめんなさい」        小さな声で (りえさんよりこえーや・・) 「なんか言った?」    京子が睨む 「いえ!何でも無いです!」    背筋を伸ばし、正座で答える高野    横の、りえが高野の方に顔を向ける 「静かにしてなさい」    静かに言われた 「はい・・・・」    ショボンとする高野 「で、俺は何すればいいんですか?」 「こっちに来て・・」   石を前に、横向きに座る京子 「私の正面に座って・・」    京子が、術書を間に置いた 「両手をだして」     言われるまま手をだすと京子がその手を握る 「いい?あたしが祝詞をあげてる間、元の世界をイメージして、  強くそこに帰るんだと、念じ続けててね」  「途中で鬼なんか思いだしたりしちゃだめよ  なんでもいい、あんたのお店でも帰りの駅のホームでもいい  思い浮かべて、強く・・必ず帰るんだと、思い続けてて」 「深呼吸して、心落ち着けて・・準備出来たら教えてね」 「はい・・」   目をつむり、集中する   目を開けた・・ 「駄目です・・鬼が頭のなかをちらついて・・」 「う~ん、しょうがないわね」 「ちょっと・・・」      芦屋の手を引き寄せて耳元で何か言う 「え!」    「いい? それでいいから、それなら鬼もちらつかないでしょ」 「えぇ・・まぁ・・・」      じゃあ、もう一回集中して    目をつむり集中する芦屋    すこしして口を開いた、目は閉じたままだ 「いいです・・始めて下さい・・」   京子が大きく深呼吸する   目を大きく見開き、祝詞をあげだした   叫ぶに近い声で上げ続ける   怖いくらいの迫力だった   ピタリと声が止まる   頭のなかがグラッと揺れるような目眩にもにた感覚があった 「ふぅ~~」   息を吐く、京子
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!