【霧・摩・影・變】シリーズ /  第一話 【腐霧】

217/219
188人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
   静寂・・・       誰も声を出さない・・      久江が国男を見る   小さくうなずく国男 「あの・・うまく・・・いった?」     恐る恐る聞く久江     京子が皆の方に体を向ける     芦屋はまだ目を閉じたまま動かない 「どう・・・?」     京子が深呼吸を一度してから 答える 「たぶん・・・できたような気がする」 「た・たぶん・・なの?」 「後は、上に出てみればわかるわ」 「うえに!!」 「だって、上にはわんさかと・・・もし、失敗なら鬼たちや・・・」 「そうね・・・そうなっちゃうわね・・」 「そ、そんな・・・」 「俺が先に出てみます!安全なら、呼びますから!」   高野が手を上げた   芦屋がぐらりと倒れた    「芦屋さん!」     京子を見る 「芦屋さんになにが!」 「ああ、大丈夫よ、消耗しただけ  しばらくしたら気がつくわよ・・心配いらないわ・・・」    京子もフラフラだ 「じゃあ、あたしと高野で見てくるね」 「え!」    りえを見る 「言っても、無駄だってわかってるわよね」 「はぁ・・そうですよね・・・じゃあ、行きましょうか・・・」 「よし!ついといで!」  「違いますよ!俺が先です!そこは譲りませんからね!」 「あっそうだ・・」    ノートを開き、書き移した御札の向かい側のページに    もう一枚の方の御札を書き写した     「これでも、効き目あるわよね?」 「ええ、大丈夫よ・・御札はその書いてある文字そのものが  力を持つからその文字で同じ文が綴ってあればいいの」   入るときに祠から持ってきた物と霧の山中の神社から   持ってきたもの・・2枚のお札を京子に渡す 「鍵持って出たまま、なんかあれば出られなくなっちゃうものね  あたしたちのはスペアキーね、マスターキーは大家さんに返すわ」       笑う、京子とりえ 「じゃあ、行ってくるね・・・」 「気をつけてね・・」   りえの手を強く握る京子 (さっき芦屋君になんて耳打ちしたの?)    小声で聞いた (あなたの事を想い描いててって言ったのよ)    小さく笑う京子   苦笑いする、りえ
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!