5.ツンツンリーマンの気持ち。

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  「そういう顔も私にしか見せないって思ってもいいんですよね?」 「……そうだと言ったら?」 「……そんなの、ヤバいに決まってます」 「?何が」 「……嬉しすぎるし……部長のことがめちゃくちゃ好きすぎて、です」 「……はぁ。まったくお前は。よくそんなに恥ずかしげもなくポンポン言葉が出てくるもんだな」 それは部長のことが好きだから。 やっと気持ちを伝えられるようになったんだから、どんなにウザがられようと、それが許される間はたくさん伝えたい。 ……あまり言い過ぎて嫌われるのは嫌だから、適度にしておくけど。 部長も私と同じ気持ちを持ってくれているのなら、名前を呼ばれることが嬉しいと思ってくれるのかな? 「……私も名前、呼んでもいいですか?」 「呼べば?」 さらりと許可が出たけど、そのまま呼んでしまうのはもったいない気がして私の口を出た名前は。 「……真野。」 「そっちかよ」 「んー、じゃあ……違う方がいいですか?」 部長の顔を窺うように覗き込む。 やっぱりその表情には私みたいに慌てた様子や笑顔はない。 「……試してみたらいい」 「怒らないでくださいよ?」 「さぁ?」 「……千尋、むっ」 直前まで呼び捨てにするか、『さん』を付けるか悩んでいたけど、私の唇に伸びてきた部長の骨張った男らしい指によって決められてしまったようだ。 「……それでいい。よくできたな」 「んっ」 そしてそのまま、唇を塞がれた。 長い長いキスの途中で、「ちゃんと好きだから安心しろ。小春」と耳元で聞こえたのは……きっと空耳なんかじゃない。  
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