6.ツンツンリーマンの恋人。

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  「っ!?」 突然の感触に私の身体がビクッと跳ねた。 それと同時にぞわっとした嫌な感覚が全身を駆け巡った。 ……偶然?それとも……? 私の手を包み込むように触れているのは田仲さんの手だ。 私よりも熱を持っているその手は汗ばんでいて……気持ち悪いと思ってしまう。 でも、大切な取引先の人だし、私の勘違いかもしれない。 ここは我慢するしかない。 「あ、あの、もう終わりますから」 「あぁ。助かるよ」 全く悪びれた様子もなく田仲さんは私の手に触れたままで、私は早く時計を着けてしまって離れたいという気持ちが膨らみ続ける。 でも、焦れば焦るほどうまく指先が動かなくなるのが人間というものだ。 もたつきながらベルトの穴に金具を通す。 あともう少し。 早くしなきゃ。 「っ、ひゃ……っ!?」 「ん?どうかしたかい?」 「い、いえっ!何でもありません!すみませんっ」 指を揉むようにされ、つい声を上げてしまった。 少しずつ触れ方がエスカレートしていっている気がするのは気のせいだろうか? 今だって……私の手の甲を撫でるように田仲さんの手が動いている。 気持ち悪い……でも嫌な顔なんてしちゃダメだ。 笑顔でいなきゃ。 早く。 あと、バンドにベルトを通すだけなんだから……!  
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