6.ツンツンリーマンの恋人。

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  ** 花の金曜日、思いのほか早く仕事が終わった私は、ちょうど服が欲しかったしとガッツリとショッピングをしてマンションに帰りついた。 いつものようにマンションの西側のエントランスに入った瞬間、目に映ったのは……いつもはそこにはいないはずの部長だった。 「……えっ!?部長!?」 驚いた私は部長の元に駆け寄る。 「お疲れ様です。どうしたんで」 「来い」 「え、ちょっと、部長!?」 部長は私の言葉も聞かずに「来い」というその2文字だけ言って、私の手をぐいっと引く。 不思議に思いながら私は部長の手に引かれるまま、エレベーターに乗り込んだ。 「西側のエントランスにいるなんて珍しいですね。驚いちゃいましたよー」 「……」 「部長、今日は県外だったんですよね?朝も早かったんじゃないですか?お疲れでしょう?」 「……」 「あっ、っていうか、もしかして部長、私を待っててくれたんですか?って、自惚れですかね!あははっ」 「……」 「……あの、部長?どうしたんですか?」 部長に会えたことと手を繋いでくれていることが嬉しくて、つい顔を緩ませて話し掛けていたけど、部長からは何も返答はこない。 どうしたのだろうかと部長のことを見上げるけど、その目線が私に落ちてくることもなかった。 少し不機嫌そうなのは気のせいかな? うるさくしすぎたかなと不安になった私が繋がれている手をくいっと引いて「ね、部長」と呼んだ時、ようやく目線が落ちてきた。 その表情は怒ったものではない。  
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