6.ツンツンリーマンの恋人。

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  「……飯は食ったのか?」 「へ?いや、まだですけど……」 「じゃあ、食ったらうちに来い。いいな?」 「……えぇっ!?」 部長に誘われたことに驚いた時、いつの間にか押されていたらしい5階に到着したエレベーターの扉が開いた。 繋がれていた部長の手が私をエレベーターの外に出し、そのままするりと離れる。 何がなんだかわからなくてポカンとエレベーターの中にいる部長のことを見てしまう。 「あの、部長」 そう呼んだ瞬間、部長が眉間に皺を寄せたのがはっきりと見えた。 「お前、ここがどこかわかってんのか?」 「えっ?」 「はぁ。ほんと何も引っ掛からねぇ、ざる頭だな。何度ここは会社じゃねぇっつったらわかるんだ?ったく」 「!」 はぁと大きなため息を残して、部長を乗せたままのエレベーターの扉がピシャリと閉まった。 ……「ここは会社じゃない」って……もしかして、私が「部長」って呼んでたから、拗ねてるとか? 私はふと頭をよぎった予想に対して、上がっていくエレベーターの階数表示を呆然と眺める。 「……な、なーんて……また自意識過剰かな」 ははっと渇いた笑い声を廊下に残し、私は自分の部屋に戻った。  
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