6.ツンツンリーマンの恋人。

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  私はそんな気持ちをそらすために、口を開く。 「そ、そうだ!ね、部長!」 「何だ」 「部長が使ってるシャンプーって対になるシリーズがあるみたいですよね!香りが違うらしいんですけど、それぞれをカップルで使う人が多いらしくて!もう片方の方、買っちゃおうかな~なんて思ったりしてるんです」 「あっそ」 「は、はい……」 素っ気なさすぎる部長の相づちに、私の中に少しだけ不安な気持ちが生まれた。 いつもとは同じだとわかっているけど、先週末この部屋にいた時はもう少し柔らかい雰囲気だった気がするのに。 どうしたんだろう……。 調子に乗って「カップル」って言っちゃったことが気に障ったのかな……。 怒らせた? 「小春」 「!!」 突然呼ばれた名前にビクッと身体が跳ねた。 部長の表情は何だか真剣なもので、私の心臓が少し緊張感を持ってドキリと鼓動する。 「同意の上か?」 「へっ?ど、同意って?」 何の話……? 「昨日の会議室のやつだ」 「……会議室……、って、えっ!?あ、あのっ……」 「……手。触ってただろ」 「!」 “会議室”、“手”という単語で、部長の言葉が何を表しているのか、私ははっと気付く。 田仲さんに触られてたところ、見られてたんだ……!  
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