6.ツンツンリーマンの恋人。

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  真っ直ぐ私を見てくる部長の漆黒の瞳に、悪いことをしたわけでもないのに少し怯んでしまうけど、怯んでいる場合じゃない。 変に誤解なんかされたら嫌だ。 「あっ、あれは違うんです!あれは田仲さんが右手を痛めてるって仰ってたから、腕時計を着けてあげていただけで……それだけなんです」 「それにしては妙な顔をしていたようだが?やましいことがあるってことじゃねぇのか?」 「!!やましいことなんてありません!あれはっ、その……っ」 まさか私が田仲さんに触られて戸惑っていたことまで気付かれていたなんて。 そんな素振りなんてまったく見せなかったから、見られていないと思っていたのに。 ……っていうか、それを今持ち出してくるってことは……もしかして、気にしてくれてたってこと? またもや自分に都合のいい考えが浮かんでしまって、私は膝の上で手をぎゅっと握り締め、『まさか、そんなわけないよ』と首を横にふるふるっと振った。 でも明らかな確信もないのに『触られた』と言うのも、何だか自意識過剰な気がして言いづらくて、私は口をつぐんでしまう。 「……もしかして、触られたのか?無理矢理?」 「っ!!」 何も言っていないのに言い当てられてしまった私は、ビクッと肩を震わせてしまった。  
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