3.ツンツンリーマンの信頼。

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  部長の様子を窺い、パソコンのキーボード音が聞こえなくなったタイミングで、私は新製品のサンプル品を部長の元に持っていくことにした。 「部長。お疲れ様です」 「ん、お疲れ」 「これ、CCX1118シリーズのサンプル品だそうです。企画部の人から連絡があって預かってきました」 「あぁ。上がってきたんだな。悪いな」 「いえ」 ダンボールをデスク越しに部長に渡す。 中身が見たくてうずうずしていた私は部長がそれをいつ開けるのだろうと、すぐにはその場を立ち去らずにダンボールをじっと見ていた。 でも部長はダンボールをすぐには開ける様子はなく、デスクの左側の空間に置き、再び目線をパソコンの画面に戻してしまった。 ……なんだ……開けないのか……ちえっ。 やっぱり今はサンプルを見るよりも先に急ぎでしないといけない仕事があるんだよね、と思いながら部長に目線を移すと、それに気付いたらしい部長がふと、パソコンの画面から私に向かって目線を上げた。 「!」 「何をしてる?まだ用事があるのか?」 「あっ……、いえ。何でもありません。失礼します」 放置されたダンボールに後ろ髪を引かれながら、眉間に皺を寄せて私のことを見る部長に私はぺこっと頭を下げて、その場を立ち去った。  
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