3.ツンツンリーマンの信頼。

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  いつダンボールを開けるんだろうか、と頭の隅に思いながら、私は現在県外に出張している営業の人から送られたメールの対応を行っていた。 基本的には社内の人が見ることができるWebページから製品の在庫状況や価格などは検索することができるけど、細かいことになると社内で確認しないとわからないようなこともあって、出張中の人からは製品に関しての問い合わせや、特殊な製品や部品の在庫確認、顧客情報確認、見積もり算出などを依頼されることがあるのだ。 それに答えるのも私の仕事のひとつだ。 問い合わせが多い時はあっという間に就業時間が終わってしまって、残業になることもあったりする。 見積もり算出の量の多さに、結構大きな取引になりそうなのかなと思いながら返答をしていた時、オフィス内に部長の声が響いた。 「高橋!ちょっと来い!」 「!はっ、はいっ!」 怒鳴るような声に私の身体はビクッと跳ね、それと同時に嫌な予感がした。 昨日提出しておいた資料に問題でもあったのだろうか……? 私がビクビクしながら部長の前に立つと、部長の鋭い目線が私を捕らえ、その唇がゆっくりと開いた。 「高橋。まさかとは思うが、さっきのダンボール、落としたりしてねぇよな」 「へ?落とすわけ……って、えっ!?どうかしたんですか!?」 「金具が壊れてんだよ。はぁ、何なんだよ。ったく」 「!!」 「壊れている」という言葉に、はっきりと思い当たることがあって、一気に血の気が引いた。 ……まさか、さっき転んだ時に……!?  
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