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「……てっきり見放されたのかと思ってました」
「見放す?」
「大事な商品を壊すなんてこと、絶対にあっちゃいけないことだし……部長に見放されたって思ったんです。それに、私が本当はダンボールを落としたのに“落としてない”って嘘をついた可能性だってあるわけで」
「は?高橋は嘘つくような人間じゃねぇだろ。お前のせいじゃない可能性が高いから、気にせずに自分の仕事をしてろっつったんだ」
「……信じて、くれてたんですね」
「当たり前だろ。疑う理由もない」
何の間もなく答える部長に、落ちに落ちまくっていた私の気持ちが少しずつ浮上していくのを感じる。
部長は私の言葉を信じていてくれていたんだ。
……何よりもその事実が、泣きそうになるくらい一番嬉しい。
「それなのに、お前がぐちゃぐちゃうるせぇから。しかも、こんな時間まで待ちやがって」
「……わかりづらいです、それ」
「?……そうか?」
あんな剣幕で怒鳴ったくせに心の中はちゃんと信じてくれていたなんて、すごくわかりづらい部長の態度が何だか可笑しくて、つい笑ってしまう。
それと同時にホッとした想いと嬉しさで涙もじんわりと浮かんできてしまったけど、笑い泣きということにしておこうと、無理に止めることはしなかった。
クスクスと笑う私を部長がじっと見ているのを感じる。
『何が可笑しいんだ』と怒られるかもしれないけど今はいいや、と私は笑いを止めることはなかった。
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