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「……部長、疲れてます?」
「は?」
「だって、何か変なので」
「あぁ?変って何だよ」
「あっ、いやっ、別に変な意味じゃなくて!」
眉を思いっきりひそめた部長に、私は手をぶんぶんと横に振って否定する。
「えっと~……、あっ!とにかくです!こういう疲れた日には甘いものでも食べてください!ね!」
「……意味わかんねぇな」
「そうです?でもたぶん、部長の脳は甘いものをくれ~って言ってますよ!」
「……何だそれ」
私の言葉に部長の表情がふと緩んだ。
そのまま笑顔を見せてくれないかなと一瞬期待してしまったけど、その期待はもちろん叶うことはなかった。
きっと呆れすぎて、眉間に皺を寄せることすらも疲れたというところだろう。
「ずっと思ってたけど、変わってるな。高橋は」
「?そうですか?一般的に見れば、私よりも部長の方が変わってると思いますけど」
「あ?」
「あっ、いえ。何でもないです。ははっ」
「はぁ。そういうところが変わってるっつってんだよ。ここまで俺のことを怯まないで、真正面から話してくる女はいないからな」
「?今、怯む場面ありました?」
「……」
普通に話しているだけなのに何で怯む必要があるんだろう?
……確かに怒られる時は怯みっぱなしだけど。
部長の言っている言葉の意味がわからなくて、首をかしげて部長のことを見ていると、部長がはぁと大きなため息をついた。
そして、しっしっと手をはらうように動かした後、部長は口を開いた。
「もういい。さっさと帰れ。もう今日は仕事ねぇんだろうが」
「!あ、はい」
「明日もサクサク働けよ」
「う、はい……」
『大変だったな』とか『とんだ災難だったな』なんてねぎらう言葉が部長の口から出ることはなく、いつもと同じツンツンした言葉が飛んでくる。
そういうところがやっぱり部長だなと思った。
でも、こんな風に話したのはほぼはじめてだし、何となくだけど私にかけてくれる部長の言葉がいつもよりもあたたかく感じられて、私はこっそりにやけてしまったのだった。
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