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けど。
「あー。危ない危ないー」
「……?」
あれ?痛くない……?
少し経っても身体に痛みが走ることはなかった。
痛いどころか、身体をふわりとしたあたたかさが包んでいるような気がする。
何が起こっているのかわからなくて、私はゆっくりと恐る恐る目を開けた。
「!?」
「高橋さんはおっちょこちょいなんだねぇ。そういうところ、すごくかわいいなぁ~」
頭上から落ちてくる声。
そして、すぐ近くに見える黒いスーツ。
ま、まさか……。
「!!すっ、すみませんっ!!」
目線を上げるとものすごく近距離に社長の顔があって、私はすぐ前にあった社長の胸をどんっと押して慌てて離れた。
社長はこけそうになった私を支えてくれたらしく、私の身体は社長の腕の中にすっぽりとおさまっていたのだ。
その身体は、背が高くそこそこ筋肉がついていそうな部長とは違ってかなり細身に見えるのに、私を支える腕の力は強くて、やっぱり男の人なんだなと思ってしまう。
恥ずかしさでカーッと熱くなっていく頬に両手を当てて、バクバクとなる心臓を必死に落ち着かせようとするけど、全く落ち着いてくれる気配はなかった。
社長にまで迷惑を掛けちゃうなんて、ほんと私ってば何やってるの!?
穴があったら入りたい!
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