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桜の花びらが散り始めた頃。俺、藍堕椿(アイダツバキ)は中学校生活最後の学年になった。
生徒玄関のドアに新しいクラスの書かれた紙が貼られる。その一枚の紙の前に登校してきた生徒達が集う…勿論、俺もその一人だ。
「えぇっと…2組か」
自分のクラスを確認し終わると同時に俺の右肩にぽんと誰かの手が置かれた。
「おはよ、椿!」
俺の背後で挨拶してきたのは1年、2年とクラスが同じだった愛川凛(アイカワリン)だ。俺は振り向かず肩に置かれた凛の手を払いながら凛に挨拶を返す。
「おはよ、凛。俺達また同クラだぞ」
「マジかよ!俺達運命じゃね!?」
そう言って凛は唇をこちらに向けてくる。俺はそんな凛の頭をわしづかみ自分の顔に近づけまいと必死で押す。周りを見ると…やはり変な目で見られている。
「やめろ!吐き気するわ!つか周りから誤解されるからマジでやめろ!!」
そう言うと凛は「ちぇ」と言いながら唇をこちらに向けるのをやめた。
「…本気なのに」
凛が荷物を持ちながら何か言った気がした。
「凛、何か言ったか?」
「何でもねぇよ。ほら、教室行くぞ」
俺の背中を軽くぽんと叩くと凛は靴箱へと向かった。
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