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俺が机に顔を伏せていると、凛が隣から話かけてきた。あぁ、そういえばこいつとは通路を挟んで隣だったな…。
「椿。俺達の担任、一宮先生らしいぜ」
「あぁ…そう…」
ぶっちゃけどーでも良い。先生なんて誰でも同じだろう。
「…一宮先生か」
一宮昴(イチミヤスバル)先生。顔文句なし、ルックス文句なし、授業文句なしという中々珍しい先生なのだ。他の先生にも生徒にも
生徒の親にも人気な先生である。
噂によるとドSらしいが実際に生徒をいじめてるところを誰も見たことないという。
__キーンコーンカーンコーン…
色々と考えていると朝礼の始まるチャイムが鳴った。チャイムが鳴り終わりしばらくすると教室の戸がガラガラという音をたてて開いた。
開いた戸から体をすべりこませて教室に入ってきたのは皆(特に女子)の楽しみにしていた一宮先生だ。一宮先生が入るや否、女子の黄色い歓声が教室中を飛び交う。
一宮先生が教卓の後ろに立つと女子達の歓声が自然と止んだ。教室が静かになった事を確認すると、先生は自己紹介を始めた。
「おはようございます。今日から2組の卒業までの一年間このクラスの担任を務める事になった一宮昴です。皆さん、よろしく」
一宮先生の笑顔に女子達はノックアウト。まぁ、男子にはあんな笑顔1mmも効かないけどな…。
そう思いながらふと隣を見てみた。そこには顔を赤らめて胸を抑えている凛がいた。
「…トゥンク」
「いや、何が "トゥンク"だよ!お前何トキメイちゃってんの!?」
「いや、あの笑顔…完璧だと思わないか?」
「…もうお前の趣味がわからなくなってきた…つかわかりたくもねぇ気がしてきた」
そんな会話をしていたらいつの間にか朝礼の終わりを告げるチャイムが鳴ってしまった。
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