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__コンコン
俺はノックを2回してから職員室の戸を開く。
「失礼します」
そう言って職員室に足を踏み入れた。何故俺が職員室に来たのか。それは学級委員の仕事をするためだ。5時間目の委員会決めで決められた以上5時間目以降の学級委員の仕事は俺がしなければならない。同じ学級委員の女子は体が弱く、あまり学校には来ていないのだ。
「一宮先生はおられますか?」
俺の声に気付いたのか、一宮先生は腰をかけていた椅子から立ち上がりこちらに近づいてきた。
「早速学級委員の仕事で職員室に来るとは…感心だね。あ、はい!これ2組全員分のプリント」
そう言って先生は俺の両手に山の量のプリントを乗せてきた。
「ぅお!重たっ…」
「じゃ、それ教室まで持ってってね。勿論1人で」
「…ねぇ、先生って___」
「先生ってS?」俺が先生に向けて発しようとしたこの言葉は先生の机の上にある写真によって最後まで言えなかった。俺がその写真を見つめていると先生が声をかけてきた。
「ん?どうしたの、藍堕くn__っ!」
先生は俺の目線の先に気付いたのか、急いで机の上の写真をしまった。
「先生…さっきの写真…」
「藍堕くん。放課後、教育相談室に来て」
俺にそう告げた一宮先生。その言葉に俺の背筋がゾッとした。いつも笑っている言って先生が…無表情で喋っているのに鳥肌が立ったのだ。今この瞬間、時間が止まったかのように思える。
「藍堕くん。返事は?」
「…は、はい…」
凍った喉がやっとの思いで動いた。俺の声は小さく、掠れていたが先生には届いたらしい。
「…うん!じゃあプリントよろしくね」
俺の返事を聞くと、一宮先生は再び笑顔を取り戻し先程腰をかけていた椅子に座った。俺は「失礼しました」と言い残して職員室を去った。
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