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__ガチャリ
俺と一宮先生しかいない部屋、教育相談室に鍵をかけた音が響く。勿論鍵をかけた主は一宮先生だ。俺が先生の後ろで立ったまま待機していると「ここに座って」と言いしまってあった椅子を引いてくれた。
「あ、ありがとうございます」
やっぱ、2人きりだと緊張する…って、異性でもないのに何緊張してんだ俺……。
そんな事を思っていると先生は急にクスッと笑いだした。
「あれ、もしかして藍堕くん緊張してる?」
「えっ…いや、まぁ」
図星をつかれ、徐々に声が小さくなる。先生は何も言わずに窓の外を眺め始める。目線から考えてみると、多分サッカー部の練習を見ているのだろう。俺と先生との間に沈黙が続く。俺はその沈黙を破った。
「先生…何で教育相談室に呼んだんですか?」
俺の言葉に先生はピクリと反応を見せた。先生は窓のカーテンを閉めると椅子に座り俺の前の机に一枚の写真を置いた。
「何でって…藍堕くん、この写真の事聞きたいんでしょ?」
先生が俺の前に置いた写真。それは俺が映っている写真だ。職員室の先生の机に置いてあった写真。しかもそれは俺の許可をもらい撮った写真ではない。明らかに盗み撮った写真だ。私服だし、撮られている角度からしてわかる。
「…これ、いつ撮ったんですか?先生」
「一週間前…かな?」
何の悪気もなくあっさりと答える先生。まるで、盗撮という罪を知らないかのようだ。
「先生…盗撮って言葉知らないんですか?」
俺のこの言葉が先生の本性を見せる原因となった…いや、もっと前に先生の本性を見せる言葉を言っていたのかもしれない。先生は椅子から腰をあげた。そして、俺に顔を近づけてきた。鼻が軽く触れているくらいの距離だ。
「藍堕くん…国語の教師だよ?それくらいの言葉知らなくてどーすんのさ」
先生の眼つきが変わった。今まで見た事ない…獣が、野うさぎを喰らうかのような鋭い眼だ…………。
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