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「せん…せ」
ここは教育相談室。俺は椅子に座っていて、一宮先生は俺の前の机に右膝を乗せて俺に顔を近づけている…鋭く、光った眼で。
「教師をからかっちゃ駄目だよ…藍堕くんが先生をからかうような悪い子だったとか知らなかった…1から躾直してやろうか?」
無表情だった先生の口角があがる。そして先生の唇が俺の唇との距離を縮めていった。
「ちょ、先生…何して」
後ろに下がりたくても椅子の背もたれが邪魔で下がる事ができない。やがて、俺の唇に温もりが伝わってきた。重なったのだ。先生の唇と俺の唇が。
「んっ…」
初めてのキスに俺は固く目を閉じてしまう。数秒すると互いの唇が離れた。先生がカーテンを閉めたのはこのためだったのか…先生の温もりがまだ残っている自分の唇を右手の甲で隠す。
「へぇ…キスだけでそんな顔するんだ。もしかしてファーストキスだった?」
「~~~~っ!」
俺の顔に熱が集まる。恥ずかしさのあまり俺は先生に向けていた目を逸らす。そんな俺を見て先生は更に悪戯っぽく笑う。
「何であの写真を先生が持っていたかわかったか?」
「…わかるわけ、ない」
先生と目を合わさずにそう答えた。そして、この言葉は正しい解答ではなかったらしい。
「分からないんだ…ならわかるまで躾てやるよ」
「え?…んっ!」
先生は再び俺とキスをした。今度は俺の後頭部を抑え、強引に。更には舌まで俺の口内に侵入させてきた。
「…っん、はっ…」
俺は浅い呼吸を繰り返すばかり。口の周りがぬるぬるになるまでディープキスをし続けた。教育相談室のカーテンの向こうからは、サッカー部の掛け声と野球部の金属音が、微かに聞こえてきている。
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