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少女はその顔にここに来て初めて見せる微笑を浮かべた。それはここにいる誰をも魅了する笑顔ではあったがどこか作り物の、氷のような冷たい笑顔だった。
その冷徹な笑顔そのままに少女は再び口を開く。
「ねぇ?そういえば魔方陣ってわかる?」
「突然なんなんだお前?」
「いいから答えなさい」
「そんなの知ってるに決まってるだろ 」
《魔方陣》
それはこの国、いやすべての国で幅広く伝えられている奇跡のことを言う。
魔方陣自体に奇跡と呼ばれる効力はないが選ばれた数少ない種族に与えられることにより、その効力は奇跡の領域へと到達する。
そして今現在その魔方陣の効力を奇跡と呼ばれる領域まで扱えることのできる者は4人しかいないとされている。
一人はエルフの都ステレイン国の魔女。破壊の魔女と呼ばれる彼女はたった一人で、一国を落とすであろうと言われた1000もの魔神たちを全て跡形もなく消してしまったという伝説がある。
二人目は霊前の都ゴーリミメンの魔女。復活の女神と呼ばれる彼女はあらゆる病を治し、死者をも甦らせると言われている。
三人めは魔法都市ホーメルンの魔女。あらゆる攻撃を防御し傷ひとつ負わない立ち姿から守護の姫君と呼ばれているとか。
そして四人めはここ水の都ヘストールの魔女。砂漠の地であったこの地をその身1つで開拓。水をもたらしたとされる彼女は水の巫女と呼ばれているらしい。
まぁこんなこと信じるに値しないとレースは思っている。
なんせこの村の現状を見ればわかることだ。水の巫女がいるヘストールの国にありながら満足に水を得られない村。
水の恩恵を受けられていない村がある今、こんな話全く信憑性がない。
「まぁ、信じるには値しないけどな」
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