第二章:蘇りは命日

4/10
前へ
/37ページ
次へ
「いつから、日本に来たんですか?」 にわかインタビュアーの口調で訊ねてみる。 きっと、この人、中国人で、あちこちで「レスリーに似てる」と言われ続けて、自分でも意識して似せるようになったんだろうな。 顔からすると、まだ、四十前に見える。 とすると、レスリーが死んだ時には二十代だろうから、その後、本人も年を取ってますます似てきたパターンかもしれない。 この際だから、こちらも四月バカになってやろう。 「ずっと前から」 多分、これは本当だろう。 この日本語の達者さからすると、結構長くいそうだ。 生前のレスリーはカタコトしか話せなかった。 のみならず、日本語で喋ると、母語の広東語で話す時の声より半オクターブくらい上擦って聞こえた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加