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五月カンナは違和感を感じて目を覚ました。
寝ぼけ眼で隣に目をやると寝ているはずのエティア・ハーツの姿が無く、彼女がベッドを出た動きで目を覚ましたのかと思ったが、よくよく考えてみると自分はエティアの短い悲鳴で目を覚まさなかっただろうか?
「エティア?」
名を呼んでも返事がなく、不安になってカンナはベッドを抜け出した。
「エティア、どこにいるんだよ?」
もう一度大きい声で呼びかけながら寝室を出て行こうとした時、微かに揺れるカーテンを目の端に捕らえた。
不信に思いながらも近づいてみると、カーテンが不自然に膨らんでいて後ろからストロベリーブロンドの髪が見え隠れしていた。
「いるなら返事くらいしろって」
安堵しながらカーテンに近づいて彼女に手を伸ばしたら、その手から逃れるかのように後ろに下がるのでカンナは戸惑ってしまった。
「どうした?嫌な夢でも見たか?」
優しく諭すように声をかけるがなかなか顔を出さないので、もう一度だけ名を呼ぶとカーテンで半分隠した状態で顔を出し衝撃の一言を発した。
「…お兄ちゃん、誰?グレイスはどこにいるの?グレイス…グレイス」
そう言いながら泣き出してしまい、カンナは反応に困ってしまった。
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