第11章

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男は悲鳴にような気合いと共にナイフを振りかぶって間合いを詰めた。 カイトは相手の手首を自分の左手首でくるりとすくい上げたかと思うと、次の瞬間にパーンと強く叩く音がした。 ナイフは音を立てて植物園の踏み石の上に転がった。 その傍では、既にカイトが器用に脚と腕を使って相手の男の動きを封じていた。 栞の目で確認できるような稚拙な技ではなかった。 体に染みついた動きは、ただ早くて、美しかった。
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