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「その小鬼たちはもう現世にはいないんだね?」
しばらくして口を開いた明長のその問いには、燦が答える。
「少なくとも今日コイツを追って来た奴らは幽世に戻ったはずです。依代を壊しましたから」
依代とは神霊 が依り憑く対象物のことらしい。
燦の話ではあの小鬼の依代には大き目の虫やネズミなどが使われていたのだとか。
「という事は、取りあえずこの神社の周囲にはいないのだね。一先ずは安心しても良いのか」
「でも、きっとまた依代を用意して来るでしょう。アレは諦めない」
「そうか、そうだな……」
明長と燦の会話に、波留は口をはさめない。
理解出来ないというより、何か波留の知らないことを話しているように感じたからだ。
(アレって何? 諦めないって、何を?)
「いっそ、さっさと見つかった方が良いと思います。その方が対処も出来る」
そう言った燦の言葉に、波留は引っかかるものを感じた。
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