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(見つかった方が? ……見つかる?)
その言葉に、先程鳥居をくぐる前に聞こえた声を思い出す。
くぐもった、ゾッとするような声。
「あ、あのさ」
もしかしたらあの声のことと今の彼らの会話は関係あるのではないだろうか。
そう思った波留は声を上げた。
「小鬼から逃げて、ここの鳥居をくぐったときに『見つけた』って嫌な感じの声が聞こえたんだけれど……。何か関係ある?」
「っ!」
「そ、れはっ」
二人、それぞれに目を見開いて息を呑む。
その反応だけで関係あるのだと波留は理解する。
「あれって何なの? 見つかったら良くない? さっき見つかった方が良いみたいなことも言っていたけれど、どうなの?」
何か秘密にされていることがある。
明長と燦の会話でそれを感じた波留は、立て続けに質問を投げかけた。
だが、二人はすぐには答えてくれない。
二人だけで目を合わせ、視線で何かの意思疎通を図っている。
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