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仕方ないので母の詩織と他愛無い世間話をしていると、カランカランと入り口のドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
反射的に笑顔でそう言った詩織。
でも波留は時間的にテイクアウトのお客さんだと良いな、と思いながら少し遅れて「いらっしゃいませ」と続く。
入り口に立っていたのは高校生くらいの男の子と品の良い感じの白髪混じりのお爺さん。
どちらも和服姿で波留は今時珍しいな、と思った。
二人はテーブルに着くわけでも、注文のためにこちらに近付いて来るわけでもなく詩織と波留を見比べている。
その不躾な態度に眉を顰めていると、男の子は眉間に深いシワを寄せ波留を指差した。
「こんなガキが嫁なんて聞いてない!」
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