155人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
意味深な言葉に思わず波留は燦と顔を見合わせる。
明長は祖母から何か聞いていたという事だろうか?
では何故、それを父の道隆に伝えてはくれなかったのか。
疑問が次々と湧いてくるが、その答えは明長にしか答えられない。
つまりは、ついて行くしか無いという事だ。
どちらとも無く立ち上がった波留と燦は、明長の後を追うように参道を登っていく。
とっくに見頃が終わった桜の木々の下には、今が丁度見頃の紫陽花が可愛らしい花束を作っている。
ここ数日雨は降っていないが、陽光の下でも美しい色彩を誇らし気に見せつけていた。
桜は元々この神社にあったらしいが、紫陽花は祖母の米子が嫁に来てから植えはじめたらしい。
ただの趣味かと波留は思っていたが、ここ最近の不思議な事を思うと何か理由があったのかも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!