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次第に大きく成る歓喜にも似た奇声を遠ざけるように、知らず知らずのうちに俺から距離をとる羽有華。
「くそっ・・・あいつはかってんのか?」
焦れったい思いが全身を駆け巡り、手足に細い電流が走ったかのような僅かな痺れを感じる。
今まで感じたことのない感触だ。
女子の軍団が邪魔で前に進めないのもあるが、それ以上に焦っている自分が受けいられず、苛立っているからかもしれない。
思うように体が動かない。
気づけよ、馬鹿っ。
声にならない言葉は喉元で消え、次こそはと勢い良く息を吸い込む。と、次の瞬間、茶色混じりの黒髪がふんわりと揺れ、見慣れた横顔が覗いた。
一瞬、どきりと心臓がはねた。俺の心の声が聞こえたんじゃって、期待してしまう。
動きを止め、黙って羽有華を見つめること数秒。羽有華が横目で俺を見やり、ぽつり。
「・・・で?」
「・・・・・・はああ!?」
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