Session 1

3/8
前へ
/19ページ
次へ
 次第に大きく成る歓喜にも似た奇声を遠ざけるように、知らず知らずのうちに俺から距離をとる羽有華。   「くそっ・・・あいつはかってんのか?」  焦れったい思いが全身を駆け巡り、手足に細い電流が走ったかのような僅かな痺れを感じる。  今まで感じたことのない感触だ。  女子の軍団が邪魔で前に進めないのもあるが、それ以上に焦っている自分が受けいられず、苛立っているからかもしれない。  思うように体が動かない。  気づけよ、馬鹿っ。  声にならない言葉は喉元で消え、次こそはと勢い良く息を吸い込む。と、次の瞬間、茶色混じりの黒髪がふんわりと揺れ、見慣れた横顔が覗いた。  一瞬、どきりと心臓がはねた。俺の心の声が聞こえたんじゃって、期待してしまう。  動きを止め、黙って羽有華を見つめること数秒。羽有華が横目で俺を見やり、ぽつり。 「・・・で?」 「・・・・・・はああ!?」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加