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「じゃあ、何で逃げるようにお店出たの?宿題まだ終わってないのに。」 「…え?…あ、そうだ…どうしてだろう…」 「顔、真っ赤だった。」 「あ!そう!急に顔が熱くなって!心臓がバクバクいってて! ワケわかんなくなって…気が付いたら外に出てた…」 そう言うと、クスッと笑った千夏ちゃん。 今度は千夏ちゃんが私にハンカチを差し出した。 「…ナツ、それが恋だよ。」 「…え?」 「涙が出るほど切なくなったんだ?あの人思い出しただけで。」 「……………」 自分では無自覚だった。 思い出して、涙が溢れていた自分。 そして、落ち着いたはずの心臓が、トクン!と甘い刺激を揺らしている。 「それが恋だよ。それが一目惚れ。」 「……………」 それはたった一瞬。 私は知らない人に恋をした。 …いや、恋に落ちた。
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