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「…冬馬ってそういう奴だったっけ?」 「何が。」 「恋愛で四苦八苦。」 「そうじゃねぇよ。…なんつーか、相手が相手だし、俺もこういうの久々で。」 「四苦八苦してんだろ。無自覚?」 「…いや、そうかもな。」 自分の恋愛と重ねてしまう。 多分俺は、彼女が離れていくのが怖いんだ。 俺が本気になってるから。 「まぁ、10も離れてりゃ気になるか。 育った環境が違うだけで性格も変わる。その性格の不一致で別れるカップルや夫婦もいるんだし。 冬馬の場合、時代も興味も年齢も違うんだからな。話の食い違いあるだろ?」 「…そういうのは感じない。」 「………マジで?」 「ああ。最初は俺が合わせればいいかと思ってたが、合わせなくても大丈夫だ。 話せば、意外と大人。そこらの高校2年と同じ考え方してないかな。」 「え?意味が分かんねぇ。」 「一言で言えば、"純粋"だと言っただろ。直球で物事を受け止める子。 家庭環境は最低。だけど、自分を守るために考えて編み出した究極の防御法。」 「…ますます分からん!どういう意味?」 「…あの子は、良いことも悪いこともすべて覚えている。そのときに感じた気持ちまで。 それを探るなんてことはしない。直球で受け止める。本当でも嘘でもそれがすべて。」
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