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「……え?」 「恋に恋してると自分で気付いたとき、頭に出てくるのは俺を傷付けたと自分でショックを受ける。」 「……は!……スゲー……」 「いい女だろ?高校生の癖に。」 一目見て俺の感情を察した彼女は、感情移入の塊みたいな女だ。 一見矛盾して見える彼女の性格。それでも筋が通っている一本の幹は、彼女自身の強さだろう。 あの子から見ると、俺は憧れの初恋。 その憧れとは? 俺?恋?彼氏という存在? …その答えが見つかるまで、俺は待ってやる。 その答えがもし"恋に恋をしただけ"だったとしても、俺は自ら悪役になろう。 ストレートで悪いものを演じて、あの子の脳に俺という存在を塗り替える。 深く傷付くだろうが、俺のために傷付くことはなくなる。 「…四苦八苦…だな。…宗司、帰る。ごっそーさん。いくら?」 不器用な俺は、これでも大人だから。 君以上に我慢することしか出来ない。
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