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その足で夏の家に向かう。
出てきた夏は憔悴しきっていて、目の下のクマが一睡も出来てないであろうことを物語っていた。
「…ナツ。何か食べた?」
「……あー……忘れてた……エヘヘ……」
「ダメだよ?ちゃんと食べなきゃ。」
着ているのも制服。
お風呂も入らず、昨日帰ってそのままベッドの上でずっと考えていたんだろう。
初恋は実らないと、誰かがいってたっけ。
それは初恋が幼い恋だからという意味だろうか?
この子の初恋は、本当に遅咲きだった。
今では幼稚園でも初恋を経験する時代だって言うのに。
分別を知って、大人でも子供でもない今の年齢での恋ほど、真剣なものはないと思う。
…それに、恋をして綺麗になった。
キラキラ輝く宝石のように、幸せそうに笑う夏が眩しかった。
私だって夏のように必死で真剣な恋をしたいと思った。
「…ナツ。なんでこんなになってんの?」
「……ショックが大きすぎて……」
「何がショックよ。まだ一生懸命になってないくせに。」
「……え?」
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