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「ま、ナツには関係ないか。
大嫌いな火を消してくれるのが大嫌いな消防士だもんね。皮肉過ぎる。
この際堂本に乗り替えれば?大嫌いな冬馬さんの全部を知らずに離れるんだし、誰と付き合おうがいいんじゃないの。」
「…なんでそんなこと言うの?…マックの君のことが好きなのに!だからショックなのに!」
「あんたはいつだってそれ。それだけじゃ前に進めない。」
うん。
好きだという思い。それが今でもあるならば、消防士だろうが受け入れることはできるよ。
冬馬さん本人を好きなんだから。
それが一番大事なこと。
「ナツは、冬馬さんをどれくらい見てたの?」
「……え?」
「人のことを考えたり、好きな人のことを考えたりするときは、相手の立場になって考えるんだよ。」
「相手の…立場…」
「そう。例えば夏が消防士で。冬馬さんが好きなのに、冬馬さんからは"三大嫌悪"に消防士があると告白された。
ナツ。もしそうだったら、冬馬さんに自分が消防士だって言える?」
「……あ……ああっ……!!!」
「嫌われたくないから言えない。そうじゃないの?」
「…千夏ちゃん……!私はマックの君を傷付けたんだ!…どうしよう!……どうしよう!!」
途端にボロボロ涙を流し始めた夏。
後悔。それだけが頭を支配する。
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