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ずっと思っていた。
恋に恋していても、別に構わない。
俺に彼女を受け止めることは容易いだろう。
受け止めた上で俺が彼女を丸ごと包めばいい。
…だがそれでは、彼女自身が傷付いてしまう。
あの性格は他人のことで自分が苦しむ傾向にある。
自分が単に恋に恋してたと気付いたとき、"まぁいいか"で終わる普通の頭はない。
俺への罪悪感でいっぱいになり、俺を傷付けたと泣くんだろう。
だから時間をあげたんだ。
その答えが垣間見えた瞬間、弾けとんだんだ。
俺は傍にいるべきじゃない。
傍にいても傷付けるだけ。
そんなこと、彼女の三大嫌悪を聞いた時点で分かっていた。
分かっていたが、加速していく気持ちに歯止めが利かなかった。
…俺は、決めた。
罪悪感を持たせないために、嫌われようと。
傷付いてしまわないように、憎まれようと。
嫉妬も含まれた行動の結果、俺の手は簡単に振り払われた。
…そうだ。俺がお前を騙して傷付けたんだ。
それを刻ませるようにカミングアウトした。
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