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「おはよう冬馬。」
「ああ。おはよう。」
「…なんだお前。朝から辛気臭ぇ。」
「…うるせーな。」
「何?JKにフラれた?キシシシ!」
「……………」
「…え。マジかよ。」
「チゲーよ。…朝っぱらから爆弾落とされた。」
「は?」
「違うJKに。」
「…は!?意味分からん!!」
「お前に分かってもらえんくていい。」
「冷たい奴だな。」
昨日、彼女を傷付けると分かっていた。
それは俺への罪悪感ではなく、俺が仕掛けた彼女への攻撃で。
一緒にいるとは好都合。親友である千夏がいれば、少しは心も落ち着くだろうと思った。
初めから気付いていたはずなのに、油断した。
千夏は頭の回転が早い。
俺が圧されてる。
「…一言だって?…何を言う気だよ…クソ…」
俺は単純だ。ただ怖いんだ。
消防士だから嫌われる。そんなのは百も承知でデートに付き合っていた。
夏の父親が亡くなった原因が分かり、夏の気持ちも消防士の気持ちも分かる。
同時に、俺は怖くなった。
夏の父親が亡くなった原因。
俺はそれを過去に数回経験している。
見捨てた命。目の前で助けられなかった命。
彼女が消防士を嫌いになった原因を、俺は経験しているんだ。
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