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「…お前さ、この前からそんなこと言ってたけど、あの子は強いんじゃないか?」 タバコを取り出して火をつけた宗司が、煙を吐きながら俺にそう言った。 「相手のことで傷付くって…普通なら自分自身のことで精一杯だろうよ。」 「…そうだよ。本質は強い。でも脆いんだよ。」 「そりゃ女子高生だから。」 「そう。年齢的なものもある。…だが、環境もある。」 父親の死 母親の豹変 生活の変化 態度の変化 孤独な毎日 それに順応するには、並大抵の強さじゃない。 いつでも気を張って、自分を奮い立たせなければいけない。 俺たちが火事の現場へ向かうときの心境と似ているだろう。 だが、経験が浅い分、許容量が俺とは違う。 ちょっとヒビが入れば、粉々に散っていく。 それを防ぐために役立ってるのが千夏の存在だ。
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