5

7/56
前へ
/356ページ
次へ
鈍感な私でも分かった。 マックの君は、徹底的に私を避けている。 きっと、知らないうちに引っ越すことになるかもと思ったくらい。 もう一度、話したい。 あれから毎晩マックの君の笑顔を思い浮かべた。 そして、いろんなことを思い出した。 そこでやっと気付いた自分の失態。 私は、いつのまにかマックの君を傷付けていた。 嫌悪対象に消防士を入れていた。 大好きだと言いながら、大嫌いと言っていた。 そしてあの日、マックの君の手を振り払った。 大嫌いと言った私に、自分が消防官だと告白するのは相当勇気が必要だったと思う。 千夏ちゃんが教えてくれた、相手の立場になって考えること。 そうやって考えたら、私だったら言いたくないもん。嫌われてると分かってるのに、わざわざ追い討ちをかけるように言うことは怖い。 何度も考えた。 やっぱり、マックの君が好きで。 だから謝りたくて。 「本当に大丈夫?」 「うん、今、愚痴聞いてもらったし。こればかりは私が一人でやり通さなきゃいけない気がする。」 「…そうだね。頑張んな。」 「うん。」 「でも、何かあったら連絡して。」 「ありがとう。大好き。千夏ちゃん。」
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2886人が本棚に入れています
本棚に追加