5

31/56
前へ
/356ページ
次へ
「…これが勤務表。」 「うわぁー!凄い。訓練ばっかりなんですね。」 「そうだね。時には人を担いでいかなければならないこともあるから。」 「そっか。人命救助のエキスパートですもんね。」 「…そういう見方は出来るんだ?」 「…え?…あの。ついこの前からなんですけど。 …好きな人が消防士だって分かって、少しでも知りたいと思って本を買いました。 それで見方を変えていこうと頑張ってるんです。」 「……失礼なことを聞いてもいい?」 「…?…はい。どうぞ。」 「嫌いになった原因って?」 「…あーー……重たい話なので」 「いいよ。聞かせて。」 ちょっと困りながらも、ポツポツと話してくれた内容は、やっぱりあの日の火事が原因だった。 そして、嫌いになった直接の原因は、…俺。 「そっか。…それで?この消防署に来たのはどうして?」 「えっ!!…えっと!…あの!」 「……もしかして、ここの隊員?」 …うわ。茹で蛸。 分かりやすいこの子に、本当のことを告げるべきなんだろうか……?
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2886人が本棚に入れています
本棚に追加